在宅ターミナル、看取りとして自宅に戻りました
ご本人のたっての希望「家に帰りたい」
娘さん達は医療関係の仕事をしており、心強い退院となりました
主治医より点滴の指示があり、点滴を実施
点滴終了までの見守りも医療関係の娘さんにも協力を得て、食事もとることもできるようになり、ますます「外へ出たい」という希望が心に強く沸き上がりました
体の代謝が低下して、腹部、下肢の浮腫みも増えてきました
「お父ちゃん、体が動かないと外へは出かけられないよ、リハビリ!リハビリ!」
と娘さんたちは、愛情込めて、毎日、上肢の可動域ストレッチ、下肢のマッサージをしてくれました
私たちナースは、訪問している最中に、その方がいつも外を見ていることに気づきました
「元気な時には、いつも山歩きが好きだったから、その思い出を考えているのかもしれないね」と娘さん
「今の季節はどんな山菜がとれるのですか?」とナースが問いかける
「わらび」「ふき」と小さい声で言い、さわやかに笑う
新緑の季節、外へ心がはせているのだろうな、と思う
それと同時に、自分の体の変化、もしかしたら刻々と時間が迫っているのではないか、と考えているのではないだろうか
時間がないのは、たぶん本人もわかっているのだと思います イラついているのか、ケンカになります、と娘さん
ならば、「外出」というご本人の希望を叶えてあげたい!とナース魂が沸き上がる
デイサービスはどうでしょう?ね、○○さん、人の中が嫌じゃなければ行ってみるのもどうかな?
彼の顔の曇りが晴れる
そうか、やっぱり行きたい、外へ行きたいのね!
ケアマネさんやドクターにも相談ですが一番は、ご本人の気持ち
できるんですか??でも、可能なら一回でもいい、途中で帰ってきてもいいです
お父ちゃんを外に出してあげたい、と娘さんの思い
ご本人は、微笑んで、また外を見る
明日、状態がどうなるかなんてわからない、善は急げです!その場でケアマネさんへ連絡を取る
対応してくれたケアマネさんは、また、素敵なケアマネさんでした
やってみないとわからないけど、デイサービスの調整を急ぎでとるね!と心強いお返事をいただきました
調整はうまく進み、デイサービス3回利用できたのです
お父ちゃん、イラつかなくなったんですよ、ニコニコしてデイから帰ってくるんですよ、と娘さんも笑顔
よかった、よかった!
先生にも試しに聞いたのですけどね、デイに行ける状態ではないよ、と話していました、と娘さんの話
その話を横で聞いている○○さん、ふっ、と笑っている
時間は迫り、旅たちの日を迎えた
そのお顔は、微笑んでいました 自分の人生を生き切った、証拠
死亡診断にきた主治医に娘さんがデイサービスにも行けて、本人満足な人生を終われました、と
先生は、驚いた顔でしたが、それは良かったですね、と微笑んでいました
医学的見地からは無理であろう、と思えたこともご本人が奇跡を起こす
私たちも父の思いを組んで家に連れて帰れたこと、感謝しています、と娘さん
新緑の季節、外を眺めていた彼の姿を思い出します