看護関連

魂の叫び

入院している利用者さんから突然、電話をいただきました

「会いたいんだけど、話をしたい」というのです

この方とのご縁は、退院予定になっており、外泊支援をすることになりました

ターミナル期で在宅酸素もしており息苦しさもありましたが外泊で何より友人と会って時間を過ごしたい、と思っておりました

その外泊支援の時に、何か心配なことがあったら連絡してね、と携帯の番号を彼の携帯電話に登録をしました

登録した番号にかけてくれたのです

しかしながらコロナ渦のなか、病院でもクラスターが発生しており面会禁止となっております

ごめんね、病院には入れない状態、何か困っている?

彼は、いや、いいよ、と言いせき込みながら電話を切りました

その電話が最後となり、翌々日に旅立たれました

電話があった日、連携室の担当者に連絡を取り、彼の状況を確認しました

良くない状況ですね、殺される、と携帯電話から警察に電話したみたいです、と

苦しさの余り、精神的にも混乱し、警察に連絡をしたのだろうと思う

コロナにより病棟閉鎖もしており医療者は感染予防しか考えられない状況のなか、彼は死と向き合うその苦しさを

誰にも話せず、私に電話してきたのだろう、と思った

亡くなった、と聞いた時、彼の無念さを感じた

コロナがなければ病棟に会いに行くこともできた

退院ができたら、毎日でも訪問しようと考えていた

残り少ない彼の時間を素晴らしい時間にしてあげたい、と思った

旅立ったいま、その苦しさから解放されたのだ、と思うとよかった、と思う

最後、彼の苦しさ、思いを聞いてあげることができなかったけれど、私に電話をくれたことは

心から嬉しい

彼の頭の中にあの時の「訪問看護師」を思い出してくれた

天への光の道を歩んでいけることを願います

 

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