看護関連

人生人に恵まれるのが一番、幸せ

年末年始に受け入れをした方、限られた時間の中を生きているのだな、と感じました

一日ごとに状態の変化があり、ご家族が不安の中で精いっぱい介護しておりました

お父さんに一番会いたかったのよ、と話すKさん

旦那さまもそれに応えるかのようにKさんの手を握ります

いつまでいれるか、わからないけど好きなだけ居ろ 大丈夫だ、シルビアさんも来てくれる

へえ?シルビアさん?お父さん、間違っているよ、ガルシアさんだよね、と笑うKさん

お父さん、心配ないですよ 私にはシルビア、マルシア、ガルシア、と3つ名前があるの、どの名前で呼んでくださってもよいですよ、と私

お父さんは、シルビアさんという名前が好きなんだよね、とすかさず話すKさん

はい、では、シルビアでいきましょう! ははははは・・・(笑)

お部屋が和やかな笑いと空気に包まれました

痛みはないのですが嘔吐する回数が増えました 嘔吐は一番辛いです スッキリすることがない

介護をするために長男さんと次男さんのお嫁さんが交代でお世話をします

Kさんの隣のベットで添い寝をしてくれています 姉妹かと思うくらい、仲の良いお嫁さん達です

今年ね銀婚式なの 前倒しで、明日、みんなに集まってもらう予定、と話すKさん

集まった皆さんに配る花束代わりのシクラメンの鉢をたくさん準備していました

無事にイベントが終わり、点滴を止めに訪問しました

病院に戻ろうと思う、もう十分 こんなにしてもらった  眠らせてほしいの

その言葉を聞いた長男さんのお嫁さんが「おかあさん、心配ないよ、まだ私たちお世話できるから」

涙ながらに話す

もう、トイレに立つのも大変 足も動かない これ以上、面倒をかけたくないのよ

お母さん!そんなこと言わないで、と涙ながら次男さんのお嫁さんもベッツサイドに駆け寄る

うんん、本当にいいの、病院へ戻る ありがとうね 体が辛いのよ Kさんも涙を流していた

Kさんは家族のことを思い、そして、辛い病状を家族に見せたくはない

この温かい家族のもとを離れたくはない、けれどこの辛い病状から早く、解き放たれたい、と思っているのだ、と感じた

Kさん、病状が落ち着いたらまた自宅にもどることを考えましょう、今は、Kさんの気持ちをくんで病院へもどりましょうか

「また戻る」という言葉にKさんが「ガルシアさんはまた来てくれるの?」と問う

もちろんですよ、退院と同時にもれなくついてきます、と話し「よかったね、お母さん!」と和やかな空気となった

限られた時間を過ごす命 その命を見守る張り詰めた空気は、どこか辛い

家でともに過ごす時間が終わることを惜しむようにほんの少し、家族だけの時間をつくり、私は部屋を退出した

すすり泣く声が廊下に響く

Kさんが一人、一人に言葉を残しているのだろう、と思った 思わず涙があふれてきた 私も辛い

お嫁さんが、救急車を呼んでもらえますか、と声をかけてきた

救急車に連絡を取り、搬送の運びとなった

救急車の扉が閉まった時にお嫁さんが

これをガルシアさんに渡してほしい、と母から頼まれて

差し出されたのは、濃いピンクのシクラメンの鉢

ガルシアさんは、ピンクが好きだからこれを、と母から頼まれていました

自分の身体が思うようでなく、辛い状態なのにこんな素敵な心配りをしてくれるKさんの人柄に頭を下げずにはいられませんでした

自分の身がどんなであろうと、感謝の意を伝える、その心の豊さ、強さ

在宅で、Kさんを支えてくれた家族の皆さんは、本当に幸せなのだ、と感じました

そして、その家族に支えられ自宅で時間を過ごしたKさんは、人に恵まれ、本当に幸せな方なのだ、と確信しました

Kさんの素晴らしい人柄が幸せをつくり、周りの人へ幸せを波及したのだと思います

Kさんは、七福神様のおひとりなのかもしれませんね

素晴らしい出会いに感謝です

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