宮古市では、DNARの試行が始まっています
さて、DNARとは?
終末期医療における心肺停止状態になった場合に心臓マッサージ、気管挿管、人工呼吸器装着を希望しない、いわゆる蘇生措置をしない、ということです
終末期にあたる時期について、明確な定義があるわけではないのですが医師より病状がターミナル期、終末期である、と判断された時を言います
先日、がんの終末期の方がDNARの説明を受けて、「同意書」にサインしました
病院の外来ナースからこの方がDNARの同意書にサインをした、と申し送りを受けました
同意書にサインをした、といいますが本人は自身でかける状態ではありませんでしたので、家族がサインしたことになります
幸いにもご本人の意思疎通は可能でしたので、本人の意思の尊重、ということになります
この方の状態がいつ、呼吸停止状態になるのか
毎日の訪問では刻々と病状が進んでいるのが見えました
訪問したナースは、その日の状況をほかナースに情報共有します
いつもより、声掛けにたいしてウトウトしている 食欲がなく、あまり水分も欲しがらないみたい
皮膚が膨隆してきて、がん細胞なのか増えてきている
以前は、体交時に痛みを訴えたのに痛みを訴えなくなっている、等々
ステーション内では、「カンファランス」という時間を設けなくてもナースたちは、時間を見つけ情報を共有します
「お父さんの意識がおかしい、白目をむいている、さっきまで話をしていたのに」と奥様から連絡
わかりました!今、伺いますね 急いで訪問車を走らせます
Kさん、わかりますか?看護師ですよこんばんわ
うっすら片目を開けるKさん 呼吸がゆっくり、1分間に6回 呼吸が止まりそう
奥様には、今から病院へ搬送になると思いますが主治医に連絡をとって指示をいただきますね!
入院したらコロナ感染真蔓延防止から面会は、制限になりますがよろしいですか?
やつぎばやにこれから起こること、予測されることをご家族に問いかけ、返事をいただきました
いままで、一生懸命介護しましたたから、昼間もお父さんが「もう、行くね」と言っていたから最後の挨拶だったのかもしれません
入院でいいです、と奥様の返事
最後にKさんに 病院へいきますか?と尋ねた
意識がもうろうとする中で、薄目を開け、「うん」とうなずいた
病院は行くのは嫌だ、とあんなに話していたKさん、最後は家族へ迷惑をかけない、と決めたのだな、と感じた
主治医へ連絡をとり、指示を仰ぐと代理の医師が「DNARですよね、何もしませんよ」という
もう少し、言い方、というものを考えて話してほしかった
医師とは、蘇生を希望しない方にそのような言い方をしてしまうのだな、と残念に思う
119番へコール 救急の方が「この方はDNARですね?同意書はありますか?救急隊がついたら同意書を準備していてください」という 病院からの救急への連絡は共有されていたのだ、まずは安心
救急隊が到着 DNARの同意書を確認する
ご本人は、まだ息をしている 酸素飽和度が低酸素な為、酸素はしてもよいですか?と救急隊が聞く
DNAR=何もしない、というのではなく、許可を取り酸素吸入を開始した救急隊の仕事の仕方に丁寧さを感じた
お願いします! 救われた気持ちになった 救急隊の丁寧さに感謝したい
Kさんは病院で5日過ごし、旅立った
DNARの同意をしてきた後に家族は動揺していた どんな状態になったら訪問看護師へ連絡したらよいのか?
訪問の度に家族の不安に丁寧に丁寧に応えた 大丈夫です、どんな状況でも私たちはお伺いします!
この日に立ち合いをした私
奥様から久しぶりね、ガルシアさん!ガルシアさんに会うと勇気をもらえるわ なんだか元気になる
今日来てくれて、本当にうれしい! 明るい表情の奥様が印象的だった
その言葉に私もエネルギーをいただいた
ありがとう、ありがとう Kさん、奥様 、ご家族のみなさん 素晴らしい介護の時間でした
また、忘れられない思い出の1ページになりました
雨が降ると思い出す あの日も雨が降っていた 雨の日に救急車で送ったこと
もう会えないだろう、と思ったこと
ウフフ、今頃は天に上り、こちらを眺めているのかな