高齢の方の一人暮らし、私たち訪問ナースは支えます
奥様に先立たれ、それからの余生をおひとりで過ごしてきました
娘さんたちは遠方での暮らし、それぞれの生活があり、中々親子で会う時間は難しい
足に出来た傷がなかなか治らない、歩くのが大変になってきた、と当社のケアマネに相談があがりました
当社のケアマネは、現状把握に訪問します
受診して、薬を塗っているが治らない、と言います
所長さん、一度訪問して傷の様子を見てもらえませんか?本人は、自分で治す、と言っているんですよ、と依頼を受けました
一体その傷は何者なのか?予測をしながらご自宅に訪問しました
はじめまして!訪問看護のガルシアです。ケアマネさんからKさんの傷のご相談を受けました
皆さんのご自宅に訪問している看護師なのですが傷を拝見させていただけませんか?
看護師さんですか、ああ、いいですよ なかなかね、薬を塗っているんですが治らないんですよ
ははは、参っています 〇ちゃん(当社のケアマネさんをKさんは〇ちゃんと呼ぶんです)が連れてきてくれたんだね、ありがたい、ありがたい
はにかんだ笑顔の老紳士 素敵です
その足の傷を拝見しました これは、ASO、閉塞性動脈硬化症の壊疽が始まり
形成外科を受診し薬を塗布していましたが治癒の見込みはなく進行していました
形成外科の医師より、切断の説明を受けており、ご本人の希望にて切断はしないと希望
このまま壊疽が進めば、命の危険があり、この先どのように最期を閉じるのか、を考えなくてはならない
どこで最期を迎えるのか、ケアマネ〇ちゃんも「本人にどう聞いたらよいのか・・・」と悩む
認知機能もしっかりしており、足に包帯を巻きながら、娘さんを車で迎えに行っておりました
病状は刻々と進み、痛みが強くなりました ご本人も傷の状態を見るたび、「仕方ないですな」と自分を励ましていました
楽しみにしていたデイサービスもいかなくなり、在宅サービスへ移行、通院も大変になり、娘さんは心配でケアマネ〇ちゃんに連絡がありました
「入院でできますか?」
先日も説明あったのですが切断するのなら入院、とのことで、そのあとは施設か在宅という方針です
「切断はしない、と言っているので入院できないですね。やはり、施設ですかね」
娘さんからご本人へ施設入所のお話をして頂き、施設案内も取り寄せしたのですがご本人は在宅を選択
「自分の家にいる」と決断し、訪問診療医へ紹介、看取り方向となりました
ご本人が好きなシャワー浴、足にビニル袋を被せ、シャワー浴の支援をさせていただきました
歩行器は便利で、座ることもできるのです 体力的に難しい時には車いす代わり 助かりました
「なんのこれしき!」と自分をふるい立たせ、歩行していましたが転倒が増え、ベット上生活となりました
「情けないですな・・」とポロリ こちらも切なくなりました
「看護師さんたちが元気で来てくれるので、私も元気を出さないと!」と気合入れます
足の傷は、かなり痛い状態 痛み止めを内服するようになり、食事量も少なくなりました
クリミールという栄養剤はお口に合い、好んで飲んでいました
元気を出さなければ!というKさんの努力です
独居なので、夜間の安否確認の訪問支援が始まりました
訪問時間帯にテレビをつけたまま寝ていることが増えて、そっとテレビを消して、電灯はそのままにして「また明日朝きますね」と心で言い、退出する日も増えました
臀部に褥瘡もでき、処置には痛みを伴い、辛い思いをしました 常に言うのは、
「痛いですな・・・大丈夫ですよ」
最後まで怒らないK さん 辛くても感情をぶつけたりしないKさん
私たちに「毎日ご苦労様です」という言葉に涙しそうになりました
宮沢賢治の「アメニモマケズ カゼニモマケズ」
今頃は、風の又三郎になり、自由にあちこち飛び回り、時々、私たちの周りに風を吹かせてくれているのかもしれないです